易学的天文観

 拙者は易学の研究に携わってきましたが、易学を究めれば究めるほど、天体の持つ機能や役割がまた違って見え始めるのです。ここでは、その勝手な易学的天体観を紹介します。

 人類の心理に大きな影響を与える天体として太陽と月と彗星が挙げられます。太陽は恒星と言い、(核融合によって)自ら光を放つ天体で太陽系の中心にあります。地球上の万物を育むエネルギーを供給し続ける太陽は、正に古くから「母なる」存在として形容されてきました。この陽としての存在に対し、陰としての存在が月です。古くより太陽の反対語「太陰」と呼ばれてきました。太陽暦、太陰暦の言い方は、これに端を発します。月は太陽と異なり自ら光を発しません。月が夜空に光って見えるのは、太陽光線を反射しているだけなのです。また、月は太陽を周回するのではなく、地球という惑星の周りを周回しているので、天文学的には衛星として分類される天体です。

 さて、2大天体としての太陽と月はそれぞれ固有の周期サイクルをもっており、人類に大きな影響を及ぼしてきただけに、必ず暦の中心的な存在にならざるを得ませんでした。太陽と太陰という言い方はそれを裏づけています。しかし、太陽系天体を機能的な観点から見る時、太陽と月が必ずしも陽と陰の対を成していないことに気づくのです。

 易学の観点から言えば、太陽は陽であり+(プラス)とされますが、系の中では不動の存在であり静であり-(マイナス)です。つまり、厳密には陰なのです。これと概念的に対をなす存在、それは彗星です。彗星は尾が伸びているのが特徴の天体です。彗星はこれまでに複数個が確認されていますが、その周期は長短あって数百年に及ぶものまであるようです。この動きを見てもわかりますが、動であり陽であり、+(プラス)の存在です。彗星の核は低温で凍っていると推定され、それは太陽と正反対の存在と言えるでしょう。このように考えると太陽と彗星は陽と陰の相対する存在と考えることができます。

 一方、月と地球はどうでしょうか?月ほど大きな衛星もまたありませんが、それは地球の存在を生(+陽)とすれば、月は死(-陰)であります。まさに地球の影としての存在です。私は太陽と月が対をなすのではなく、地球と月が対をなすべきと考えるのです。幽界の存在自体、議論が分かれるところですが、もし幽界があると仮定すれば、現実界が陽で幽界が陰です。現界と幽界、物質と精神の概念的な対を地球と月の存在が表現していると、拙者は思うのです。そして、月があの世のシンボルとして古く信仰されてきた訳も、このような古人の発想に端があったと思わずにはおれないのです。

 さて次に太陽と彗星の対をなす情報についてまとめてみましょう。

 このようにそれぞれの特徴を列記すると、太陽が卵子、彗星が精子的な役割を担っていると思えて来ないでしょうか?太陽の電磁作用も含めたエネルギーと彗星の有機物情報が共に作用する時、そこに新たな遺伝子情報が作られ、新しい種の生命が誕生するという仮説があってよいのかもしれません。

 そして、水が凍らず、かつ蒸発もせず、生命維持に適した温度の環境をもつ場所こそが、「地球」であることに気づきます。地球の周回領域は、実に生物に安全とされる温度均衡が保たれた場所です。このように液体が水の状態で存在できる場所をハビタブルゾーン(生息可能領域)と呼びます。地球は太陽からの微妙な距離を保つことで、ハビタブルゾーン内に自らを置いていると考えられなくもありません。

 また、拙者は地球と子宮が深い関係性を持っているのではないかと考えます。音としても地球(ちきゅう)と子宮(しきゅう)が似ていると感じるのは拙者だけでしょうか?地球とは、あらゆる生き物が生命を育むことを許された世界です。そこは、水も空気も熱も光も土も適度に存在しバランスが取れた世界です。拙者はそこに移植されるべき生命の起源を先の太陽と彗星の働きに求めるのです。子宮にはそれ自体、遺伝子を作り出す仕組みがありません。これは宇宙界の生命原理を示しています。新たな遺伝子が形成されるには、必ず陰と陽のエネルギー融合を経る必要があります。こうして考えると、この地球にあらゆる種の生命が存在している理由が納得できます。彗星の持つ遺伝子情報と太陽の電磁エネルギーが作用して種の書き換えが起きるのです。これは未だ科学的に解明されていませんが、将来いつかこのことが科学的に解明されることを願ってやみません。




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青川素丸 表参道の父

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