月の境界と北斗七星

  中国では当初、二十四節気の平気法が利用されていました。但しこれは暦の上での話で、民間には次のような口訣も広がっていました。 

 「上半年来六、廿一。下半年来八、廿三。」 

 これは1月~6月は、6日と21日に節が替わり、7月~12月は、8日と23日に節が替わると言うものです。一般人はこのように節気の替わり目を容易に把握できる方法を編み出していました。それだけではありません。天文から日々の節目を把握する方法も身に付けていました。それが北斗七星の斗柄(とへい)部分の星を利用する方法です。

北斗七星は7つの星から成り立っていますが、図の左から順番に

 「天樞(てんすう)」、「天璇(てんせん)」、「天機(てんき)」、「天權(てんけん)」の

4つの星が斗杓(としゃく)の部分を構成し、

次に、

 「玉衡(ぎょくこう)」、「開陽(かいよう)」、「搖光(ようこう)」の

3星で斗柄(=魁(かい))を構成しています。

この杓と魁を合わせて斗と言うことから、北斗七星になったとされます。

 古人は北斗七星の斗柄が指し示す方向から節月を知る方法も編み出したと考えられます。巷の占星術の本には、『斗柄を構成する3星(玉衡・開陽・搖光)が指す方向から古人が(節)月を知っていた』と記述されていますが、節月の求め方まで書かれた本は皆無です。しかも、実際に北斗七星を観察したことのある人ならこんな乱暴な説明はしないでしょう。なぜなら、北斗七星の玉衡・開陽・搖光の3星をよく観察すると、そもそも一直線に並んでいないからです。一直線に並んでいない星が指し示す方向はどこでしょうか?全くデタラメなので鵜呑みにせぬようお気を付けください。

 そこで、拙者はどのように北斗七星から節月を導けるのか、考えてみたいと思います。 

 まず、北斗七星の七星の配列、七星と北極星との関係を知る必要があります。これは次の北斗七星図を見れば一目瞭然です。この図を基にして、「玉衡―開陽ライン」と「開陽-搖光ライン」が作る角度を計算してみると約40度の開きになります。実はこの40度は斗柄が指し示す方向から節月を探る場合、非常に大きな誤差となるのです。と言うのも約40度という角度は同時刻の星の観察で1ヶ月以上、つまり2節気以上のズレに相当するのです。 このままでは正確な節月を求めることは不可能です。巷の占星術の本の危うさはさておき、果して、北斗七星から節月を求める方法とは一体どんなものだったのでしょうか?ここで、考えてみたいと思います。



 科学的に考えるために、北斗七星の動きを規定する前提についてまとめてみましょう。

【斗柄から節月を求める前提】

 前提①:北斗七星は毎日定時に観測すると1日に一度ずつ北極星を中心に左回り

     (反時計回り)に移動し、1年で360度回転します。よって、毎日特定時刻に

     観察しなければなりません。その「特定時刻」を決めなければなりません。

 前提②:北斗七星をどこで観察するか地上の観測点を定める必要があります。

     古代中国のどこで天体観察がなされたか?を探る必要があります。

 前提③:北斗七星の魁の部分が節月とどう関わるかを探らなければなりません。

     この場合、天球の捉え方を2つに分けて考えなければなりません。

     全天球をイメージするか、北天球をイメージするかで、もちろん斗柄と節月の

     関係も異なります。そして、私は2つの仮説を考えました。

    ● 仮説A)「開陽」―「搖光」の2星を結ぶラインを採用する方法。

     例えば、ラインを延長した方向から時間を求める方法です。

    ●仮説B)北極星と七星の相対位置から判断する方法。

     例えば、北極星を中心とした北天円上での「搖光」から求める方法です。  

 他にもいくつかの仮説が考えられますが、より現実的なこのAB2つの仮説について検証してみましょう。その前に北斗七星の各星のデータについてまとめておきます。

上データから導ける基礎情報:

αとηの赤経差は2h43m49.34s。ここで、赤経1h(時)=15度、赤経1m(分)=角度15分として計算すると、北天を中心とした角度は約70度になります。ここで拙者が興味深く思っているのは、γとεの角度で丁度15度ということです。15度とは360度の24分の1、二十四節気の一節気分に相当する角度になります。


ここで日本(明石市)における春分夜8時の北天図を観てみましょう。

 上図から北斗七星は東経135度で、春分午後8時に「搖光」が北天の中心~東ライン上に丁度位置することがわかります。つまり、中国エリア(東経120度付近)は春分の午後7時頃に同じ配置が観察できます。ただし、北天を中心とする「天樞~搖光」間の角度が約70度、時間にして4時間半です。天樞や天璇など斗柄以外の星を、同じライン上で確認しようとすると、日没と重なって周囲が明るく見え辛いはずなのです。その中でも搖光が唯一確認しやすい星と言えます。

 このように考えると、春分に北斗七星が東を指すのは実は斗柄自体ではなく、斗柄の先端に位置する搖光であり、指し示すというより東のラインに重なるという表現が適切と言えるのです。また、仮に「開陽―搖光」の2星を結ぶラインを指し示す方向として採用すると(A説)、指し示す方向が東から僅かに逸れて、東北東に寄ることもわかります。まして「玉衡―開陽ライン」や「玉衡-搖光ライン」を採用すれば、さらに北東寄りへと傾いて、かつ東のラインと大きく交差して、節月の算出まで説明できなくなります。このことは、他の夏至、秋分、冬至でも、同様に成り立つのでほぼ間違いないと思われます。

 さらに、この斗柄の「搖光」の位置から節月を探る方法の根拠を、拙者は中国の天文図に見い出しました。拙者が気づいたのは、図上で北斗七星の「搖光」が、一番内側の赤点線の円周のライン上に位置していることです。「搖光」は北極星を中心として、一日約1度ずつ周回するので、1年で円上を周回することになりますが、図の円と北極星を中心とした北天での回転が一致することに気づきます。

 これらのことを総合的に考えても、北斗七星から四季や節月を求める方法は、恐らく北斗七星の斗柄の「搖光」の動きを観察して、北天の中心から四方位へのライン上に「搖光」が重なる時期を以て、一年の「二至二分」としたと考えるです。そして、節月や節気に関しても同様に推し導くことができます。

 さて、こうして天体の動きから求めることのできる「節月」ですが、日常生活の中でその境界となる時刻が重要視される状況はほとんどありません。しかし、易学では、節気の交替時刻が特に重要視されます。節気は日付で交替しているのではなく、特定の時刻を以て交替します。そして、節月上の前後月はエネルギー的にも、特定の時刻を境に明確に分けられるのです。つまり、そこには1分の糊代も存在しません。易学では自然エネルギーの影響は、アナログ的ではなく、常にデジタル的に切り替わるという認識があります。それは、プラスからマイナス、陰から陽へ、エネルギーはある一点を境としてデジタル的にその質を変化させるのです。そして、正に節月の境界点こそ、自然エネルギーを交替させる転折点です。

 ですから、転折点を厳密に把握することは、また大切となるのです。

 では、なぜデジタル的に切り替わる転折点が、時空間に存在するのか、その理由について後に説明しましょう。




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