アセンションという危険思想

〇「アセンション」と言う思想に接する際には注意を要します。これは「次元上昇」などと解釈され、本来はキリストが亡くなって神の魂として昇天=高い次元に戻るとする表現であったはずです。キリストの例を見るまでもなく、日本人の仏教思想としてよく知られる 浄土真宗の「往生即成仏」もアセンションの概念に似ています。 こちらは人は亡くなれば即、佛として 極楽往生できるというものです。キリストも人間でしたが、キリストに限らず、普通の人でも死ねば アセンションできることを 鎌倉時代に、日本人である親鸞も 堂々と力説していました。古人はこの様に、故人を祀り上げたり、死を肯定的に受け入れる宗教観を持ち合わせていたのです。 それが昨今、都合よく曲解され、肉体を持つ人間は3次元界にあるため、そこに魂が押しとどめられている、だから 高次の思考を持つべきであり、意識浄化を図ることで肉体を持ちながら3次元から解放された魂を育み、また意識の次元上昇をめざし、来るべき?日に向けて生き残るべく精進して頑張ろう、という思想になっているのです。この科学技術の発展目覚ましい昨今、そして客観的事実を積み上げようとしている時代において、この曲解は甚だ危険と言わざるを得ませんが、拙者の知人もこの思想に大いに染まっており、多様化を許す時代において、静観するしかないのでしょうか。

〇そもそも、この手の危険思想により、これまでも多くの人が人生をふいにしてきたのも事実です。「来るべき?日」というのは 魂の良悪によってふるいにかけられる 審判の日が来るという終末思想に他なりません。 まさに、一時期流行った ノストラダムス思想の変化形です。 近いところでは2012年12月に「マヤ暦」の長期暦が終わるので、人類が滅亡するという説を叫んでいた占い師がいました。拙者は敢てこの12月に人類は滅亡しないという根拠を「護国神社」で講演させていただきました。長期暦の解釈の間違いについて指摘させていただきました(未だにマヤ占いを信じている人がいるので残念ですが・・・)。そして、人類滅亡の日を迎えても何も起きなかったのです。そして、もう一つ、これも拙者の別の知人が言っていた2018年アセンションが起きると言うものです。だから、あなたは肉食はやめた方が良いというのです。拙者は「ご忠告ありがとう」と言いました。拙者は大学大学院時代、ベジタリアンで過ごしてきたので、肉食を断つことのメリット、デメリットは身体で理解しているつもりです。にわかにスピリチュアルを信じた知人の強迫観念はいかほどか逆に心配になるのだが、それは杞憂に変わりました。そのアセンションが起きるという節目を越えたとたんに、その知人はアセンションの話を途端にしなくなりました。拙者もこれで懲りて、もう信じなくなったはずと思っていたら、しばらくして今度は2019年のアセンションについて話をし始めました。どこまでも、際限がありません。往々にしてこの種の情報は、アセンション思想を発する「教祖的存在」が居て、その人が情報を流し、信者らを煽っているのです。

〇一部のスピリチュアリストのこうした西洋原理思想に危機感を覚えるのは私だけでしょうか?大きな問題の一つは、スピリチュアリストの多くは世の中の仕組みが理解できていないことです。社会や生活基盤について乖離し、あるいは逃避している人が多いことがわかります。今のこの世にすら色々な次元や領域の、個性や思考を持った人たちが 存在しており、日々工夫や改良などを重ねながら進化した世界や社会を形作っています。もちろん、スピリチュアリストたちもその世界や社会の中に命をおかなければ、生きていくことなんぞできないという大前提があります。その大前提を、真っ向から否定するということ。あたかも自分たちが次元を上げるために生きることによって、世の中の人々が救われているという発想、あるいは死んで魂になった時に自分は神に助けられるという死後の思想、それはまさに生が悪であるということに繋がる発想です。スピリチュアリストは生命を軽んじ過ぎる人が多いのも事実です。ともすれば、昇天という死を以て達成する アセンションは死を美化する思想に繋がりかねず、非常に危険な思想と言わざるを得ません。

〇そしてアセンションのもう一つの問題は、意識の次元上昇が、特定の宗教思想と 結び付き、特定の修練を果たさなければアセンションができないとその手続きを絶対条件とすることです。では、キリストがそんなアセンションの手続きをその時代に発明しているでしょうか?多くの民にそれを施したでしょうか?それは知りうる者と、知らない者という構図を作り、自らを優位に据えるという傲慢を助長しているのです。そして極論、支配者と被支配者の巧妙な利害関係が出て来る訳であり、問題がややこしくかつ重大さを増してきます。少なし、アセンション信奉者は洗脳されているのでその点はまったく理解が及ばないと思います。アセンション信奉者の 手続き論においては、ある特定の修練を果たさなければ魂は救われない訳ですから、

●生まれてすぐの赤ちゃん

●年老いて死に瀕しているご老人

●動こうにも動けない植物人間になってしまった人

●がんなどの不治の病で毎日ずっと苦痛と闘いながら病床で生きてる患者さん

●死ぬ必要は無かったのに自殺しかないと自ら命を絶った人

こうした人たちはどこまで行っても救われないことになります。

何の修練もできないからです。

このように 意識に次元という構造を持ち込み、かつそこに勝者と敗者の階層を作り出すことで、正に 強者が弱者を救うという 強者優位の理論を強要する。これこそが宗教の骨頂。スピリチュアリストの問題はこうした霊主体従を説くだけでなく、今のこの世界や社会に物理的に不満足な人たち、不幸な人たち、妬み嫉みを持つ人たちを、「愛」と言った心地よいキーワードで自分たちの世界に引き込み餌食にすることです。 本来は人を救うという考え自体がおこがましいのですが、どうしても、信じることが原点ですからそういう思考回路になってしまいます。「救う」という言霊には、「巣食う」という反意が込められています。人を救う意思を貫くのは大切が、行動で示さなければ心は(執着心や悪意に)巣食われ、本末転倒になるという戒めでもあります。

〇本来「アセンション」という言葉自体に悪意は無いはずですが、尊い言葉がその意味を曲解され、汚されたことが拙者としては悲しくてなりません。この世にはもともと 上位者も下位者も、遇不遇もありません。人間という生き物である以上優劣もありません。なぜか?命は一つだからです。概念や思考は、脳が作り出した虚構の世界であり、それが意識です。しかし、脳が作る以上、意識は3次元の枠を超えることはほぼできません。それが時空間という3次元の世界の中でどう表現されたかだけの問題であり、しっかり3次元界の産物でしかないのです。 アセンションにより水と空気のみで生活できる、アセンションにより時間や重力など物理法則がなくなる、と本当に思っていたら重症です。

〇このように「アセンション」という言葉を聞いただけで気分が悪くなる不気味な危険思想ですが、このキーワードには注意しましょう。ちゃんと理解して免疫を付けてから接しなければ、同じ穴の貉になってしまいます。スピリチュアリストのほとんどが人の心を救うどころか、自分の心を掬われてしまっています。人生をふいにされないこと、時間と資材を無駄にされないことを願うばかりです。


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青川素丸 表参道の父

東京 青山・表参道の発祥! 易学中興の祖! 【青川素丸】 数十年の研究を経て驚くほどの的中率に 易学を蘇らせた! 未来を預測する有名占い師!! 【表参道の父】 青川素丸 AOKAWA SUMARU 音声SNS「clubhouse」の占い部門で世界最大の 「占いCLUB」創設者